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ロシア・トゥデイ(RT) 「英リズ・トラス外相の過激なレトリック、ブレグジット後の英国が危険なほど妄想的であることを世界に示すもう一つのサイン」

写真は、エリザベス・トラス英国外務大臣。© afp / salvatore di nolfi

Photo 出典元

ロシア時間4月30日 15:18 ロシア・トゥデイ(RT)
by ティムール・フォメンコ
Timur Fomenko
政治アナリスト

「ロシア・トゥデイ(RT)について」

ロシア・トゥデイ(RT)は、ロシア連邦予算からの公的資金で運営されている、自律的な非営利団体です。2005年に最初の国際ニュースチャンネルを開設したRTは、現在、9つのテレビチャンネルでニュース、時事問題、ドキュメンタリーを放送する24時間体制のグローバルなニュースネットワークであり、6つの言語によるデジタルプラットフォームと、姉妹ニュースエージェンシーのRUPTLYを擁しています。

現在、RTは5大陸、100カ国以上で視聴可能です。主流メディアが見落としているストーリーをカバーし、時事問題に対する新たな視点を提供し、主要なグローバルイベントに対するロシアの視点を国際的な視聴者に伝えています。 2021年1月の時点で、RTのウェブサイトは合計で1億5000万以上の月間アクセス数を記録しています。2020年、RTは世界のTVニュースネットワークとして初めて、YouTubeのチャンネル全体で100億ビューを達成しています。

注:現在、世界中でロシアとウクライナの紛争が注目されていますが、我々が日本で入手する情報のほとんどは、欧米を中心にしたNATO擁護側から発信されているもの に限られていると言ってよいでしょう(フェイクニュースも少なくありません)。

しかし、どのような紛争も、当事者両方の言い分を聞いて、読者が客観的に自身で冷静に分析し判断する方が賢明だと思います。 従って、この一連のウクライナ紛争のニュースに関しては、敢えて、ロシアやロシア制裁決議に中立を表明する 国のニュースソースを全面的に解説しています。

「英リズ・トラス外相の過激なレトリック、ブレグジット後の英国が危険なほど妄想的であることを世界に示すもう一つのサイン」

日本語解説:WAU

狂信的な新保守主義者であるリズ・トラス英外相は、世界情勢を「民主主義」「権威主義」の間に妥協のないイデオロギー闘争として表現している。

彼女はまた、冷戦の熱狂にはまっているようだ。

水曜日の夜にロンドンで行われた彼女の演説は、ロシアと中国に対して同時に戦争したいという願望を示す境地があった。

まず「ロシアをウクライナ全域から追い出す」と呼びかけ、この紛争を「我々の戦争」と表現したトラスは、次に中国に目を向け、北京の台頭は「避けられないものではない」となじり、「ルールを守る」ことを要求し、さらにはNATOは有事の際、台湾を防衛すべきと主張した。

トラスは再び「自由のネットワーク」を呼びかけ、望ましくない国(これもロシアと中国を指している)への経済的依存を避けるよう促した。

しかし、トラスにとって不幸なことに、そして我々が今置かれている状況にもかかわらず、このふてぶてしいレトリックのどれもが、現実には深淵な根拠を持っていない。

しかし、もし彼女の思い通りになったら、潜在的な危険は計り知れない。

英国外相のレトリックは、1つだけでなく2つの核超大国の敵との直接対決を目論んでいるのである。

クリミアからロシアを追い出そうとすること、そして中国が台湾を奪おうとするのを阻止することは、いずれも軍事的な反応につながりかねないシナリオであり、潜在的には核による反応もありうるが、トラス外相には気にくわないようだ。

ワシントンの彼女の主人たちは喜ぶだろうが、ヨーロッパの指導者たちはおそらくこれを快く思っていないはずだ。

しかし、これは結局のところ、ブレグジットの傲慢さとノスタルジックな勢いがイギリスを崖っぷちに追いやり、世界における自らの現在の位置についてのあらゆる理性、抑制、節度、現実主義を外交政策から奪い去っている、より広い真実を物語っているのである。

1945年以降の英国の外交政策は、衰退する帝国が悲しみの段階を経てきたと要約することができるかもしれない。

スエズ危機が怒りと否定を表しているとすれば、1970年代のイギリスの欧州経済共同体への加盟は、交渉と受容を表しているが、しかし、それは長続きしなかった。

イギリスが持つ英語圏の例外主義的アイデンティティは、もちろんヨーロッパ本土から切り離されているという地理的条件も相まって、近隣諸国の歴史的経験とはまったく異なるものとなった。

フランスやドイツは何世紀にもわたる戦争で荒廃した記憶が残っているが、イギリスは無傷で無敗のまま、自分たちの歴史を勝利の歴史と捉え、他の国々のようなプラグマティズムが欠けている。

その結果、大英帝国はある種の「清算」に直面することなく衰退し、英国の世論は「リセット」されることなく、それが善の力であったと信じ続け、右派がそれを象徴し続けることを可能にした。

そして、まさにこの帝国主義へのノスタルジアこそが、保守党の多くの人々の間でブレグジットという形で現れているのである。

ブレグジット自体が何の経済的利益ももたらさない現実を踏まえ、ジョンソン政権はナショナリスティックなレトリックと「ブリタニアが波を支配する」という陶酔感を倍加させることでこれを補おうとしている。

グローバル・ブリテン」というスローガンは本質的に帝国の合言葉であり、欧州政治の内輪揉めから距離を置き、その代わりに世界中で野心的な貿易事業を行い、道徳的・思想的例外主義の名の下にすべてを軍事的に支配しようとする国という意味合いを持っているのである。

英国の経済環境が悪化するにつれて、このようなレトリックが悪化しているのは当然である。

インフレ率は 30 年ぶりの高水準、エネルギー価格は制御不能、コロナで経済を破綻させ、さらに悪いことに、ボリス首相の政府は、度重なるスキャンダルに揺さぶられて深く不人気であり、できる限りの「気晴らし」を求めているのである。

このような背景のもと、ウクライナでの紛争もあり、リズ・トラスが冷戦、そして潜在的には熱戦を呼びかけることが許されているのは、本当に驚くべきことなのだろう。

これは、これらの発言が危険であるとしても、英国の強さの現れではなく、英国の弱さの表れである。

この政権は、他の大国との戦争の可能性を考え、中国に対して歴史的に不愉快なアヘン戦争風のレトリックを持ち出すことによって、ナショナリストや帝国主義者の感情に訴える以外にないのである。

しかし、現実はもちろん違う。

トラスは認めないだろうが、英国はブレグジット後の重要な経済パートナーとして中国を必要としているし、もちろんロシアがウクライナから追い出される可能性がないことは誰もが知っている。

彼女の立場やボリス自身さえもそれほど強固な反中国主義者ではないことを考えると、彼女が単独で彼女のビジョンを実現する影響力を持っていることはありえないように思える。

つまり、このレトリックは危険かもしれないが、地方選挙の前にできるだけ騒ぎを起こしたいという、ますます不人気になっている政府のせいぜい空言でもある。

しかし、それでもトラスは、まずリーダーを目指そうと、世界におけるイギリスの地位にできる限りダメージを与えることを止めないのである。

しかし、外務大臣がこのような話に終始しているのは、アイデンティティと願望が慢性的に現実と乖離している英国が直面している広範な問題を象徴している。

それは、もはや勝利の予想ではなく、苦悩の予想なのだ。

以上。

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翻訳者からのコメント:

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