AP通信

AP「マリー・アントワネットが書いた『愛のメモ』の謎が230年の時を経て科学者によって解読された」

写真は、研究者から提供された画像で、ルイ16世の妻であるフランス王妃マリー・アントワネットがスウェーデンのアクセル・フォン・フェルセン伯爵に宛てた1792年1月4日付の手紙の一部で、検閲者不明の赤字で編集されたフレーズ(赤枠)がある。下の図は、その部分を蛍光X線分析したものである。銅(Cu)の部分には、フランス語の「non pas sans vous」(「あなたなしではダメ」)の文字が見える。(Anne Michelin, Fabien Pottier, Christine Andraud via AP)

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米国時間10月2日AP
by クリスティーナ・ラーソン
Christina Larson
クリスティーナ・ラーソンは、数々の賞を受賞した海外特派員であり、科学技術ジャーナリストでもあります。現在、AP通信社のグローバル科学・環境特派員として、ワシントンDCを拠点に、アメリカ、アジア、アフリカで取材活動を行っている。

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日本語解説:WAU

マリー・アントワネットが書いた愛のメモを科学者が解読

Scientists decipher Marie Antoinette’s redacted love notes

あなたなしではダメ。私の親愛なる友。私が愛しているあなた。

Not without you. My dear friend. You that I love.

クリスティーナ・ラーソン氏の記事によると、マリー・アントワネット王妃は、大切な友であり噂の恋人であるアクセル・フォン・フェルセン伯爵に宛てた手紙の中で、これらの愛情表現を送っていました。後になって、誰かが濃いインクで文字を書き込んだのですが、これは、愛情に満ちた言葉を和らげるためだったと思われるとのこと。

フランスの科学者は、歴史的文書に使用された異なるインクの化学組成を分離して、オリジナルの文字を明らかにする新しい方法を考案しました。フランス国立公文書館に所蔵されている、フランス王妃とスウェーデン伯爵の間で交わされた私信を分析して、この方法を試してみました。

その結果、元の文字を読み取ることができ、さらにそれをかき消した人物、つまりフェルセン自身を特定することができたのです。

この発見について、インディアナ大学でフランス革命を研究している歴史家のレベッカ・L・スパング教授は、今回の研究には関与していませんが、「過去について思っていた以上のこと知ることができるとわかったときは、いつも興奮します」と述べています。、

手紙が交換されたのは、1791年6月から1792年8月の間のようです。この時期、フランス王室は国外逃亡を試みた後、パリで厳重な監視下に置かれていました。まもなくフランスの王政は廃止され、翌年にはマリー・アントワネットとその夫であるルイ16世が斬首されることになるのです。

「この時代、人々は花のような華やかな言葉をたくさん使っていましたが、この手紙はそれがとても強く表れており、とても親密な言葉が使われています。ソルボンヌ大学保存研究センターの資料分析者であり、『Science Advances』誌で金曜日に発表された研究の共著者であるアンヌ・ミシュラン氏は、「このテキストでは、愛の関係があることがわかります」と述べています。

厚い綿の紙に書かれたこの手紙は、政治的な出来事や個人的な感情について書かれたもので、その内容は多岐にわたります。「狂おしい」や「最愛」などのフレーズがあとで編集されて、送信者と受信者の関係のトーンを変えようと試みていますが、全体の意味は変わらずに読み取れます。

フランス王妃マリー・アントワネット

肖像画作:エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン

アクセル・フォン・フェルセン伯爵

マリー・アントワネットとフェルセンは、18歳の時にフランスで出会い、彼女が亡くなる38歳まで連絡を取り合っていました。

今回の研究には参加していませんが、ハーバード大学でこの時代の文学文化を研究している歴史家の、デイドレ・リンチ教授は、「18世紀の西ヨーロッパでは、手紙に書かれた文章は唯一その人の性格を知ることができるものです。この時代の手紙とは一種の熱狂的な宗教のようなな存在でした」

また、同氏は、「脱衣の比喩のように、彼らは髪を下ろして本当の自分を見せたのです」と述べています。

しかし、当時、頻繁に手紙を書いている者たちは、自分の手紙が第三者に読まれる可能性があることも意識していました。18世紀のヨーロッパでは、特定の人の目から手紙の意味を隠すために、秘密のコードやいわゆる「見えないインク」を使った手紙がやり取りされていたことも有名です。

結婚出来なかったマリー・アントワネットとフェルセンの間で交わされた手紙は、後に改変されています。文章の一部が濃いインクで走り書きされていたのです。研究に使われた手紙は、1982年にフランス国立公文書館が購入するまで、フェルセンの家族が保管していました。

15通の手紙のうち8通に、インクの化学組成(鉄や銅などの割合)に十分な違いがあり、各層を別々にマッピングすることで、原文を復元することができたといいます。

ウィリアム・アンド・メアリー大学でマリー・アントワネットの図書を研究している歴史家のロナルド・シェクター氏は、「これはすごいことです」と語りました。

また、この技術は、歴史家が、「外交文書や機密性の高い政治文書など、編集のために歴史的分析ができなかった文章のフレーズや通路」を解読するのにも役立つだろうと述べています。

アンヌ・ミシュラン氏によると、最も驚いた発見は、彼女のチームが手紙を検閲した人物も特定できたことです。それはフェルセン伯爵だったのです。彼は同じインクを使って手紙を書き、一部の手紙を書き換えたのです。しかし、彼は何故書き換えたのか、その動機はまだ推測の域を出ません。

ハーバード大学のリンチ教授は、「彼女の美徳を守ろうとしたのでしょう。王妃の手紙を捨ててしまうのは、王妃の髪の毛を捨ててしまうようなものです。彼は2つの相容れないものを求めていました。彼は手紙を残したいが、同時に手紙に書かれている表現を変えたいとも思っていたのです」と述べています。

以上。

日本語解説について

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翻訳者からのコメント:
ここまで読み進めていただいた貴重なお時間に感謝いたします。

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