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ロシア・トゥデイ(RT) 「欧米の植民地主義2.0:『より小さな国』から欲しいものを奪う方法」

写真は、シリアのクルド人支配地域である北東部ハサケ州のルメイラン油田付近をパトロールする米軍車両© AFP / Delil SOULEIMAN

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ロシア時間8月20日 17:35 ロシア・トゥデイ(RT)
by ダニエル・コヴァリック
Daniel Kovalik

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ダニエル・コヴァリック氏は米ピッツバーグ大学法学部で国際人権を教え、最近出版された『No More War: How the West Violates International Law by Using “Humanitarian” Intervention to Advance Economic and Strategic Interests』の著者である。

「ロシア・トゥデイ(RT)について」

ロシア・トゥデイ(RT)は、ロシア連邦予算からの公的資金で運営されている、自律的な非営利団体です。2005年に最初の国際ニュースチャンネルを開設したRTは、現在、9つのテレビチャンネルでニュース、時事問題、ドキュメンタリーを放送する24時間体制のグローバルなニュースネットワークであり、6つの言語によるデジタルプラットフォームと、姉妹ニュースエージェンシーのRUPTLYを擁しています。

現在、RTは5大陸、100カ国以上で視聴可能です。主流メディアが見落としているストーリーをカバーし、時事問題に対する新たな視点を提供し、主要なグローバルイベントに対するロシアの視点を国際的な視聴者に伝えています。 2021年1月の時点で、RTのウェブサイトは合計で1億5000万以上の月間アクセス数を記録しています。2020年、RTは世界のTVニュースネットワークとして初めて、YouTubeのチャンネル全体で100億ビューを達成しています。

注:現在、世界中でロシアとウクライナの紛争が注目されていますが、我々が日本で入手する情報のほとんどは、欧米を中心にしたNATO擁護側から発信されているもの に限られていると言ってよいでしょう(フェイクニュースも少なくありません)。

しかし、どのような紛争も、当事者両方の言い分を聞いて、読者が客観的に自身で冷静に分析し判断する方が賢明だと思います。 従って、この一連のウクライナ紛争のニュースに関しては、敢えて、ロシアやロシア制裁決議に中立を表明する 国のニュースソースを全面的に解説しています。

「欧米の植民地主義2.0:『より小さな国』から欲しいものを奪う方法」

制裁、地政学的利益、あるいはいわゆる「ルールに基づく秩序」の名の下、植民地主義勢力は自分たちが最も得意とすること、すなわち弱者や反抗的と見なす相手から略奪を行う

日本語解説:WAU

古いジョークに、今もなお響くものがある。

子供が親に、

「どうしてエジプトにはピラミッドがあるの?」

親は、

「イギリスに持っていくには大きすぎるから」

と答えると言うのがある。

しかし、冗談の中に本当のことが書かれていることも多い。

その昔、ウラジーミル・レーニンがロンドンに亡命していたとき、友人を大英博物館に連れて行って、そこにあるすべての骨董品が、どのように、このように遠い国から盗まれたものかを説明して楽しんだという逸話が残っている。

このような植民地略奪の時代は終わったと思ったかもしれないが、それは大きな間違いである。

現在もそのような略奪は多く行われている。

アフガニスタンの人々が飢えで死に始めているのを見ても、米国は彼らの金を返そうとはしない。

どうやらアメリカは、20年にわたる戦争でアフガニスタンを荒廃させ、それ以前にもムジャヒディンのテロリストを支援したのだから、何らかの補償を受ける権利があると信じているようだ。

このような逆さまな理屈は、自分たちが望むものは何でも手に入れられると単純に信じている西側諸国の人々の心に溢れている。

同様に、シリアが深刻なエネルギー不足に陥っているにもかかわらず、アメリカは今、シリアから石油の大半を奪っている。

シリアは、選挙で選ばれた大統領を打倒するために、アメリカが支援した武装勢力によって少なからず荒廃させられた国である。

シリア石油省によると、「アメリカの占領軍とその傭兵」(アメリカが支援するシリア民主軍(SDF)を指す)は、「東部地域で占領された油田から毎日最大6万6000バレルを盗んでいる」という。

これはシリアの1日の石油生産の約83%に相当する量である。

同省の資料によると、米国の石油盗難作戦の結果、シリアの石油部門は「戦争開始以来、今年半ばまで約1050億ドル」の損失を被ったという。

さらに、石油部門が被った金銭的損失と並んで、「235人の殉職者、46人の負傷者、112人の誘拐を含む人命の損失」もあったと声明は付け加えている。

米国が行った最大の強盗の一つはロシアに対してである。

ウクライナでロシアが軍事作戦を開始した後、米国は海外に預けていたロシアの国庫資金3000億ドルという途方もない額を差し押さえたのである。

もちろん、これは正当な手続きなしに行われ、ロシア国民に大きな損害を与えたが、西側の専門家からはほとんど批判的な言葉もなかった。

ベネズエラに対するアメリカの扱いには、多くの例がある。

この文章を書いている間にも、アメリカはベネズエラの民間機、747旅客機を押収しようとしている。

この旅客機はかつてイランの航空会社のもので、イラン革命防衛隊(ワシントンがテロリストと指定している)と何らかの関係があったという理由だ。

これは根拠が薄いように聞こえるかもしれないが、アメリカは本当の理由を必要としていないのだ。

これは単に氷山の一角である。

アメリカはすでに、ベネズエラの最大の収入源であるアメリカに拠点を置く石油会社CITGOを押収しており、自国の経済を強化するためにベネズエラの石油に対する制限を解除しているにもかかわらず、この会社をバラバラに売却しようとしているのである。

一方、英国は、ベネズエラがイングランド銀行に預けた10億ドル以上の金塊を差し押さえすることにした。

さらに侮辱的なことに、アメリカは、ベネズエラの人々がこの直接的な略奪の結果に耐えている苦難についてベネズエラを批判し続けている。

同時に米国は、ベネズエラの人々のために食料や医薬品を手に入れようとしたコロンビアのビジネスマン、アレックス・サーブ氏を迫害し続けている。

サーブ氏がアメリカの命令で2020年にカボベルデで捕まったのは、カラカス市に雇われた任務で、コロナウイルスの大流行に立ち向かうための医薬品を含む人道的物資の取引を交渉するためにイランに飛んでいる最中のことである。

その後、サーブ氏は、米国とカボベルデの間に引き渡し条約がないにもかかわらず、フロリダ州マイアミの連邦刑務所に移送され、米国の「司法」の歯車が事件解決のためにカタツムリの速さで回る中、刑務所に収監され続けている。

要するに、アメリカはベネズエラから自由に物を盗んだだけでなく、ベネズエラの人々のために基本的な必需品を手に入れようとする人々を、わざわざ阻止しているのである。

このことは、植民地時代の習慣はなかなかなくならないことを物語っている。

アメリカは、ここ数年で最悪の経済危機から抜け出すためであろうと、自国の地政学的利益のために他国を強制的に支配するためであろうと、常に略奪という信頼できる伝統に頼る準備ができているのである。

アメリカがこのようなことを許されるということは、ワシントンが押し付ける「ルールに基づく秩序」においては、法の支配は強者が弱者を押さえつけるために用いる道具に過ぎないということを証明しているのだ。

以上。

解説者からのコメント: ここまで読み進めていただいた貴重なお時間ありがとうございます。記事へのご意見ご感想お待ちしてます。コメントは↓

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