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ロシア時間6月13日 15:00 ロシア・トゥデイ(RT)
by スコット・リッター
Scott Ritter
スコット・リッターは元米海兵隊情報将校で、「ペレストロイカ時代の軍縮」の著者。ソ連ではINF条約の履行検査官として、湾岸戦争ではシュワルツコフ将軍の幕僚として、1991年から1998年までは国連の兵器検査官として勤務した。
「ロシア・トゥデイ(RT)について」
ロシア・トゥデイ(RT)は、ロシア連邦予算からの公的資金で運営されている、自律的な非営利団体です。2005年に最初の国際ニュースチャンネルを開設したRTは、現在、9つのテレビチャンネルでニュース、時事問題、ドキュメンタリーを放送する24時間体制のグローバルなニュースネットワークであり、6つの言語によるデジタルプラットフォームと、姉妹ニュースエージェンシーのRUPTLYを擁しています。
現在、RTは5大陸、100カ国以上で視聴可能です。主流メディアが見落としているストーリーをカバーし、時事問題に対する新たな視点を提供し、主要なグローバルイベントに対するロシアの視点を国際的な視聴者に伝えています。 2021年1月の時点で、RTのウェブサイトは合計で1億5000万以上の月間アクセス数を記録しています。2020年、RTは世界のTVニュースネットワークとして初めて、YouTubeのチャンネル全体で100億ビューを達成しています。
注:現在、世界中でロシアとウクライナの紛争が注目されていますが、我々が日本で入手する情報のほとんどは、欧米を中心にしたNATO擁護側から発信されているもの に限られていると言ってよいでしょう(フェイクニュースも少なくありません)。
しかし、どのような紛争も、当事者両方の言い分を聞いて、読者が客観的に自身で冷静に分析し判断する方が賢明だと思います。 従って、この一連のウクライナ紛争のニュースに関しては、敢えて、ロシアやロシア制裁決議に中立を表明する 国のニュースソースを全面的に解説しています。
「CIA職員の「暴露本」、ロシアの不正よりもCIA内部の無能を明らかにする」
日本語解説:WAU
1984年当時、CIAとFBIが隆盛を極めていた。
CIAとFBIはそれぞれ、表向きはソ連の諜報員を管理し、ソ連に対するスパイ活動を行い、かつての超大国の内情に関する膨大な秘密情報を米国に提供している強力な組織であった。
ところが、1985年から1986年にかけて、その壁が崩れ去った。
3人のアメリカ人の裏切り者のおかげで、CIAとFBIが管理していたスパイ全員がソ連当局に一網打尽にされてしまったのだ。
この情報災害の責任は、最終的に2人のCIA職員、
エドワード・リー・ハワード:
モスクワの軍事能力に関する情報を提供することで米国の研究開発費を10億ドル節約したことから名付けられた「10億ドルのスパイ」アドルフ・トルカチョフを手放した人物。
アルドリッチ・エームズ:
ソ連のスパイ25人を裏切り、うち10人は逮捕され、その後処刑されたと言われている。
と、もう一人、FBIの、
ロバート・ハンセン:
ソ連のスパイ数人と、いわゆる二重スパイ(スパイとしてソ連に採用されたが、実際はCIAかFBIの仕事をしていたアメリカ人)の名前を裏付けた)
であった。
CIAは、ハワードとエイムズ、そしてハンセンという3人の裏切り者によってもたらされた裏切りによる衝撃から完全に立ち直ることはできなかった。
彼らはみなソビエトのためにスパイ活動を行い、1980年代半ばにソ連で活動していたCIAの人的情報網を文字通り消滅させることになったのだ。
しかし、CIAはその失敗の責任を認める代わりに、いわゆる「第4の男」として知られるようになった幽霊のせいにしようとした。
このスパイの存在を示す証拠を求めて何年も探し回って何も出てこない、人々の想像の中にのみ存在するものだった。
ロバート・ベアーの本の主題と同名となったのは、この神話上の「4人目の男」を探すことである。
元CIAの作戦参謀であったベアーは、かつてのCIAの同僚たちの記憶をこじ開け、裏切りと欺瞞に満ちたパラノイアの物語に命を吹き込んだが、その内容は元職員を肯定的に捉えてはいなかった。
「第4の男」は、
「CIAの上層部でKGBのスパイを探すスリリングなストーリーを描いた爆発的な未発表作」
とされ、ジョン・ルカールのスパイと裏切りの古典的物語「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の実写版と例えられることもあるが、読後感は、『トゥワイライト・ゾーン』に触発された、ジェリー・サインフェルドのような、お約束のようで結局は何もない退屈な物語を体験したような気がした。
ポール・レドモンドは、CIAの元防諜官で、表向きはベアーが物語の中で生き生きとさせようとしたスパイを追い詰めることを仕事にしていた人物である。
「元CIA長官のジェームズ・ウールジーが、CIA内部にソ連の「二重スパイ」が存在し、それがアルドリッチ・エイムズであることが判明したことについて「荒野で叫ぶ声」と呼んだレドモンドは、単なるスパイではなく、スパイそのものだった」
という主張には、ベア氏の本を読んだ後、非常に不快な気持ちになった。
CIAがロシアにおける人的情報網を再構築できなかっただけでなく、プーチンの台頭を予測できず、プーチンに十分近い情報源を得て、ロシアの指導者の意図についてアメリカの政策立案者によりよく知らせることができなかったのも、このスパイのせいだとベアーは主張しているのだ。
つまり、ソ連崩壊後のロシアについて質の高い情報を得ることができなかったCIAの責任は、レドモンドにしかないと言うのである。
ハワードとエイムズ、そしてハンソンがアメリカの諜報活動に害を及ぼすことを許したCIAとFBIの多くの失敗について、ベアーは率直に語っているが、なぜCIAがロシアで失った地位を取り戻すことができなかったのか、つまり、ベアーが「第4の男」と呼ぶ人物について、彼が紡いだストーリーは次のようなものである。
「ベアーが『完璧なスパイ』と呼ぶこの人物が、ロシアに関してCIAが行っていること、行おうとしていることのすべてをロシア側に密告することができた」
というのだが、あまりにも作為的で、あまりにも推測的で、あまりにも不完全なため、読者の想像をかき立てることはできない。
素人目には、ベアーがルカール的な準知性主義の世界に踏み込んだことは、信じられるかもしれない。
しかし、CIAのケースオフィサーで旧ソ連での経験もあるベアーは、CIAの失敗の本当の理由、つまりモスクワのターゲットへの侵入を任された人たちの無能さについて、あまりにも多くの手がかりを与えすぎているのだ。
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CIAの秘密衛星通信システムをロシアの首都で無許可でテストしたこと、そして、彼と他のCIA諜報員が南部に向かう途中、モスクワで金属探知機を通過したが、ロシアの税関職員にあっさりと通されたことで、CIAの多くの失敗の真の理由に光を当てているのである。
私が知っていることは、ベアも渋々認めているように、ロシアの保安機関のプロ意識からすると、どちらの事件もベアのロシア人ホストの注意を逃れ、ベアと彼の仲間の旅行者が完全に危険にさらされたことを保証することは絶対にありえないのである。
簡単に言えば、もしベールの行動がソビエト連邦後のロシアでCIAが使ったいい加減な技術を示しているとすれば、ロケット科学者やCIAの優秀な防諜班でなくとも、「第4の男」はCIAそのものであり、エゴイストや酔っぱらい、統合失調症の人々の集合的想像力から生まれたでっち上げであることが理解できるはずである。
ハワードとエイムズ、そしてハンセンの裏切りの結果に狼狽し、恐怖で身動きが取れなくなり、自分たちの集団的無能さの犠牲にならないよう、ロシアの標的に対して意味のある行動をとることを恐れていたのである。
「4人目の男」は「(アルドリッチ・エイムズ)よりも年長で、より良い地位にいた」人物で、金ではなく「ゲーム」のためにスパイ活動を行い、スパイとして捕まることはおろか起訴もされなかった人物、アメリカの防諜の「聖杯」であり、「勝つためのゲームの進め方を知っていた」とベアーは主張している。
しかし、私はまだ納得していない。
ソビエト連邦崩壊後のロシアにおけるCIAのひどい実績を見ると、平凡さと想像力の欠如に陥ったCIA、二流のスタッフ(一流チームはテロリストと戦っている)に支えられたロシア局、ソビエト連邦崩壊後のロシア全体を理解していたにもかかわらずプーチンの台頭を理解していなかったかつてのロシア「専門家」たちに指導されたCIAが見えてくるのだ。
そして、自分たちの無能さを免罪するために、「第4の男」というフィクションが流布されることを厭わなかったのである。
以上。
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翻訳者からのコメント:
ここまで読み進めていただいた貴重なお時間ありがとうございます。記事に関するご感想などありましたら、下のコメント欄からお気軽にお寄せください。
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