米国科学者連盟ニュース

米国科学者連盟(FAS)ニュース 「中国が第2の核ミサイル地下格納庫を建設中」

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7月26日、FAS(米国科学者連盟)は マット・コルダ氏ハンス・クリステンセン氏の報告書を掲載しました。

報告書寄稿者:

マット・コルダ
Matt Korda
FAS核情報プロジェクト研究員
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)核軍縮・軍備管理・核不拡散プログラム准研究員

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ハンス・クリステンセン
Hans Kristensen
FAS核情報プロジェクト・ディレクター

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FAS(米国科学者連盟)公式記事

翻訳に関する注意事項

以下は マット・コルダ氏とハンス・クリステンセン氏の報告記事の日本語訳です。

「中国が第2の核ミサイル地下格納庫を建設中」

China Is Building A Second Nuclear Missile Silo Field

クムル地区の核ミサイル地下格納庫は、約800平方キロメートルの面積を持ち、建設の初期段階にあります。

中国が第2の核ミサイル地下格納庫を建設中であることが、衛星画像から明らかになりました。

この発見は、今月初めに中国が甘粛省の玉門付近に120基のミサイル地下格納庫を建設しているようだという報告に続くものです。

第2のミサイル地下格納庫は、玉門から北西に380km離れた新疆ウイグル自治区東部のクムル地区の近くにあります。

クムル地区のミサイル地下格納庫は、玉門の現場よりもはるかに早い段階で開発が進んでいます。

2021年3月初めに複合施設の南東部の一角で建設が始まり、急ピッチで進められています。

以来、少なくとも14基の地下格納庫の上にドームシェルターが建てられ、さらに19基の地下格納庫の建設に向けて土壌が整地されています。

全体が碁盤の目状になっていることから、最終的には約110基の地下格納庫が設置される可能性があります。


14箇所の地下格納庫建設現場にはドームが設置されている。さらに19基の準備が進められており、最終的には110基のサイロがミサイルフィールド全体に設置されることになる。

FAS(米国科学者連盟)とは

科学と科学的分析を用いて世界をより安全にすることを目的とした、アメリカの非営利国際政策シンクタンクです。

1945年、最初の原子爆弾を開発するマンハッタン計画に携わった科学者たちによって設立されました。

米国科学者連盟は、使用されている核兵器の数を減らし、核・放射線テロを防ぐことも目的としています。

また、核エネルギーの安全性とセキュリティに関する高い基準を提示し、政府の機密保持の実態を明らかにするとともに、通常兵器、核兵器、生物兵器、化学兵器の世界的な不正取引を追跡し、排除することを目指していいます。 詳細(英語)

クムル地区のサイトを最初に発見したのは、米国科学者連盟の核情報プロジェクト研究員であるマット・コルダ氏で、商業用の衛星画像を使い、その後、プラネット社からより高解像度の画像が提供されています。

クムル地区の地下格納庫は、ほぼ完璧なグリッドパターンで配置されており、およそ3km間隔で、サポート施設が隣接しています。

この地下格納庫の構造と構成は、玉門市の120基の地下格納庫とよく似ており、内モンゴルのジランタイ訓練場に建設された約10基の地下格納庫ともよく似ています。

これらのシェルターは、より繊細な工事が完了してから撤去されるのが一般的です。

クムル地区の面積は、玉門地区と同様に約800平方キロメートルです。


クムル地区のミサイル地下格納庫群は、地下格納庫同士が約3km離れた場所に格子状に配置されている。

中国の核戦力への影響

今回の玉門とクムル地区の核ミサイル地下格納庫建設は、中国の核兵器をこれまでになく大幅に拡大するものです。

中国は数十年にわたり、液体燃料のICBMであるDF-5用に約20基の地下格納庫を運用してきました。

現在、玉門では120基、クムル地区では110基、 アルシャー地区では10数基の格納庫を建設中であり、さらに既存のDF-5配備地域にも格納庫を追加する可能性があることから、人民解放軍ロケット部隊(PLARF)は約250基の核ミサイル地下格納庫を建設中であると考えられます。

中国が新たに建設している地下格納庫の数は、ロシアが運用している地下格納庫型ICBMの数を上回り、アメリカのICBM全戦力の半分以上を占めています。

中国のミサイル地下格納庫計画は、冷戦時代の米ソのミサイル地下格納庫建設以来、最も大規模な地下格納庫建設となっています。

現在建設中の250基の格納庫は、PLARFが十数カ所の基地に配備している約100基の道路走行型ICBMランチャーに加えたものです。

中国が新型格納庫をどのように運用するのか、すべての格納庫にミサイルを搭載するのか、一部は空のデコイとして使用するのかは不明です。

もし、すべての格納庫に単弾頭ミサイルが搭載されるのであれば、中国のICBMの弾頭数は、現在の約185発から415発にまで増加する可能性があります。

新しい格納庫に新型のMIRV付きDF-41 ICBMが搭載された場合、玉門とクムル地区のミサイル格納庫が完成すると、中国のICBMは875個以上の弾頭を搭載する可能性があります(1つのミサイルに3個の弾頭が搭載されていると仮定した場合)。

強調しておきたいのは、中国が新しい格納庫をどのように運用し、各ミサイルにどれだけの弾頭を搭載するかは不明だということです。

いずれにしても、今回の格納庫建設は中国の兵器の大幅な増加を意味しており、米国科学者連盟では現在、約350個の核弾頭を搭載していると推定しています。

米国防総省は昨年、中国が「運用可能な核弾頭の保有数は200発台前半」と発表し、STRATCOM司令官のチャールズ・リチャード提督は今年初め、「中国の核兵器保有数は、今後10年間で2倍(3倍、4倍とはいかないまでも)になると予想される」と述べていました。

新しい格納庫は、中国が本当にこの目標を達成するためのものであるならば、それを可能にするかもしれません。

しかし、このような拡張を行っても、ロシアと米国が保有する核弾頭数4,000発に近い核弾頭数と中国が同等になることはありません。


クムル地区のミサイル格納庫のドームは、玉門のミサイル格納庫やアルシャー地区の訓練場で見られる格納庫ドームと同じです。

>>>次ページ「核弾頭数4,000発に近い核弾頭数と同等になることはない」へ続く

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