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ロシア・トゥデイ(RT) 「インドにとってのウクライナ危機は、旧友ロシアと共に世界に何をもたらすのか?」

写真は、2017年1月23日、ニューデリーで行われたインド共和国記念日パレードの本番リハーサルでの、インド軍のT-90(ビシュマ)戦車 © Money SHARMA / AFP

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ロシア時間3月23日 15:50 ロシア・トゥデイ(RT)
by グレブ・マカレヴィッチ
Gleb Makarevich
ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所アジア太平洋研究センター 上級研究助手、ロシア国際問題専門家

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「ロシア・トゥデイ(RT)は、ロシア連邦予算からの公的資金で運営されている、自律的な非営利団体です。2005年に最初の国際ニュースチャンネルを開設したRTは、現在、9つのテレビチャンネルでニュース、時事問題、ドキュメンタリーを放送する24時間体制のグローバルなニュースネットワークであり、6つの言語によるデジタルプラットフォームと、姉妹ニュースエージェンシーのRUPTLYを擁しています。

現在、RTは5大陸、100カ国以上で視聴可能です。主流メディアが見落としているストーリーをカバーし、時事問題に対する新たな視点を提供し、主要なグローバルイベントに対するロシアの視点を国際的な視聴者に伝えています。

2021年1月の時点で、RTのウェブサイトは合計で1億5000万以上の月間アクセス数を記録しています。2020年、RTは世界のTVニュースネットワークとして初めて、YouTubeのチャンネル全体で100億ビューを達成しています」

日本語解説:WAU

「インドにとってのウクライナ危機は、旧友ロシアと共に世界に何をもたらすのか?」

ウクライナにおけるロシアの軍事行動、さらに言えば西側諸国とロシアの対立は、一部の人々が考えるほど、インドとロシアの二国間関係を劇的に変化させないだろう

「東欧で起きている敵対行為によって、防衛や安全保障、政治・経済などあらゆる重要な分野を含む、伝統ある特別で特権的な戦略的パートナーシップに影響が及ぶことはないでしょう。しかし、悪魔はいつも通り細部に宿ります」

と、ロシア国際問題専門家グレブ・マカレヴィッチ氏は述べ、今後のロシアとインドの関係を次のように分析しています。

誰一人置き去りにしない

『ここにおられる議員もご承知の通り、2022年2月24日にロシアとウクライナの緊張状態が紛争に発展してしまいました。

その根本的な原因は複雑で、安全保障構造、政治的ガバナンス、国家間における政治問題など様々な問題にさかのぼります。

それに加え、先に合意したことを実行に移すという課題もありました。

注目すべきは、ウクライナでの紛争によって、2万人以上のインド人コミュニティが直接的な危険にさらされたことです。

私たちは国連安全保障理事会でこのウクライナで進展する状況についての国際的な審議に参加していましたが、緊急の課題は、私たちの市民を保護し、彼らが危険な目に合わないようにすることでした』

と、インド外務大臣スブラマニヤム・ジャイシャンカル氏は2022年3月15日にインド議会(Rajya Sabha)の上院での演説で述べました。

スブラマニヤム・ジャイシャンカル氏

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つまり、地政学的な均衡の変化や紛争に対するインドの姿勢をめぐる議論ではなく、ウクライナのインド人コミュニティ(そのほとんどがキエフ、ハリコフ、シュミーで医学を学んでいた)の避難が、実際、インドの指導者を最も悩ませたように思われます。

ナレンドラ・モディ首相率いるインド政府は、インド人を帰国させることを目的とした「ガンガー作戦」を開始しました。

この作戦は、外務省、関係大使館、航空局、国防省、国家災害対策本部、インド空軍、民間航空会社などによる「政府全体」での取り組みでした。

特筆すべきは、ロシアの政治指導部と現場の軍部がニューデリー当局と常に連絡を取り合い、インドの学生や専門家に人道的な通行を提供することに成功したことです。

残念ながら、ハリコフ医科大学の最終学年の医学生、「ナヴィーン・シェカラッパ・ギャンガウダル」さんが命を落としました。

この悲劇は深い調査を必要とし、ロシアは直ちにその実施を約束しました。

幸いなことに「ガンガー作戦」は最終的に成功し、厳しい状況下での緊密な印ロ交流は、緊急課題の解決に向けた相互理解のもう一つの例となったのです。

政治が主張し、経済が証明する

インドの指導者、そして一般市民は明らかにこの紛争の人道的側面に集中していましたが、インド政府ではより現実的な考慮がなされていました。

それは、国連安保理や国連総会といった国際舞台におけるインドの位置づけや、欧米によるロシアへの制裁の強化、それによって生じる印ロ協力協定の将来的な影響にどう向き合うかということでした。

このような状況下で、インドが歴史的な同盟国の期待を裏切るとは、ロシアではほとんど誰も思っていなかったし、実際、そうならなかったのです。

国連安保理と国連総会でそれぞれ行われたロシア非難決議の採決におけるニューデリーの立場は、揺るぎないものであり、首尾一貫していました。ロシアのウクライナに対する『侵略』を『最も強い言葉』で非難しようとする西側主催の決議に参加することをインド政府は棄権しました。

したがって、インドは、「マルチアラインメント」(非同盟の原則のこと)の原則に最も明確に表れているように、その戦略的文化にこだわり、世界の新興勢力はあらゆる国と実りある協力のための基盤を求め、論争の的になる問題で立場をとることを避けています。

インドは伝統的に独立した立場を証明し、インドとロシアの二国間関係を犠牲にして西側との関係を強化する傾向があると誤解している政治評論家たちを思いとどまらせました。

経済協力は、相互接続された世界市場の本質に由来する複数の構造的制約を処理する必要があるため、かなり複雑な問題であるように思われます。

このような環境下で活動するには、新たに浮上した課題に対応する、首尾一貫した戦略を練ることが必要であります。

インドの経済分野の意思決定者やビジネス界は、欧米の制裁政策に細心の注意を払い、マスメディアはロシア中銀の措置、ルーブルの為替レート、ロシアの金融市場の機能に関する詳細な情報を提供しています。

そんな彼らが最も気になるのは、世界経済やサプライチェーンのグローバルネットワークに起こりうる構造的な問題です。

例えば、インド準備銀行(同国の中央銀行として機能)は、ロシアへの経済制裁がエネルギー価格の動向、金融市場の変動、インフレ率に与える影響に懸念を表明しています。

インドの市場関係者自身は、欧米主導の制裁キャンペーンに参加する気はないが、ロシアとの協力関係を深めることで生じる影響を警戒しているのです。

そのため、インド最大の金融機関であるインドステイト銀行は、国際的な存在感が大きく、米国やEUの規制を遵守する必要があることから、モスクワに課せられた国際的な制裁の対象となっているロシア企業が関与するあらゆる取引の処理を停止しているのです。

寧ろ、世界各国からの投資や先進的なビジネスの誘致に関するインドの長期計画を危険にさらさないよう、一部の注目すべき経済エージェントが欧米のイニシアティブに沿った行動を取るべきだったのは当然のことです。

急速に発展する経済と関係を持つことはロシアの利益であり、インド準備銀行が行った措置は、インドとロシアの経済関係全体から見れば、わずかな重要性に過ぎません。

旧友が一番

このような状況下で、インドはどのような利益を追求できるのだろうかと考える人もいるかもしれません。

まず「第一」に、インド政府にはロシアの東方重視政策を利用するチャンスがあります。

なぜなら、今回ロシア政府は非西欧諸国との関係強化にいよいよ乗り出すしかないからです。

ロシアと欧州は地政学的な観点から強く相互に結びついており、それゆえに欧州の安全保障構造を回復し、他の協力分野で合意を見出すことが運命づけられているが、現在では、歴史的な約束を再確認するとともに、包括的な効果を発揮するために新しいパートナーシップの領域を模索する余地があります。

そして「第二」に、いわゆる「ロシアの中国依存」説を軽減するために、インドが真の措置を講じるべき時が来ています。

この「ロシアが急速に中国に従属するようになる」というシナリオは、近年、インド官庁界、学界、専門家、メディア界を駆け巡っています。

インド政府にとって、新規事業の立ち上げ、共同プロジェクトの立ち上げ、投資の拡大など、このゲームに果敢に参入し、望みの報酬を手にする絶好のチャンスは、そうそう滅多にあるものではないでしょう。

最後に、インドは、欧米、特に米国から厳しい圧力を受けているにもかかわらず、ロシアとの提携で特別な特権を活用する用意があることを示すことができます。

ロシア政府の一部では、インドは次第に西側に傾きつつあるとの憶測が流れているが、それに対抗するにはこれ以上の論拠はないでしょう。

チャンスは準備した者に味方する

私たちが活動しなければならない環境は、間違いなく不確実なものです。しかし、今日のところ、ロシアは危機におけるインドの姿勢に満足すべきことは明らかです。

ロシアとインド政府の交流は、何千もの支持の言葉や発言を凌駕しています。

ロシアとインドは、新しい国際秩序の中でさらに交流を深めようとしています。

その方法は、両国の指導者の政治的意思と、ロシアとインドの双方の企業家のモチベーションに依存することになります。

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注:現在、世界中でロシアとウクライナの紛争が注目されていますが、我々が日本で入手する情報のほとんどは、欧米を中心にしたNATO擁護側から発信されているもの に限られていると言ってよいでしょう。

しかし、どのような紛争も、当事者両方の言い分を聞いて、読者が客観的に自身で冷静に分析し判断する方が賢明だと思います。従って、この一連のウクライナ紛争のニュースに関しては、敢えて、ロシア側のニュースソースを全面的に解説しています。

以上。

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