写真は、サウジアラビアのキング・アブドゥル・アジズ国際空港にて、ジョー・バイデン米大統領© AP Photo / Evan Vucci
Photo 出典元
日本時間11月03日14:57 RIAノーボスチ
by デービッド・ナルマニア
David Narmania
「中東で大規模な戦争を煽る米国」
日本語:WAU
米ウォール・ストリート・ジャーナルは、「信頼できる情報筋」からの引用として、イランがサウジアラビアを攻撃する準備をしているという爆弾ニュースを炸裂させた。
メディアによれば、イランがサウジアラビアの領土内の目標に対して「差し迫った攻撃」を行うという情報を米国と共有しているという。
しかも、それはできるだけ早く起こるだろうと言う。
しかし、サウジ政府はこの件に関して公式な報告書を出していないが、公開情報によると、エネルギー企業、まず産油国の企業のセキュリティ対策を強化することを決定したという。
イラン政府は同メディアの記事を否定し、イラン外務省のナセル・カナニ報道官は、この記事はイランを中傷し、地域諸国との関係を妨げようとするものであるとして、
「イラン・イスラム共和国は、国際的な原則とルールの枠組みの中で、相互尊重に基づく善隣政策に引き続きコミットしている」
と述べた。
もちろん、外交官が表に出てきて、「そうだ、戦争の準備をしている」と認めたとしたら、それは驚くべきことであっただろうが、カナニ氏の辛口の言葉の裏には、論理と一般的な政治的センスがある。
このような紛争は、イランにとってもサウジアラビアにとっても有益ではない。
ウクライナ紛争の中で、イラン政府は地域内外の結びつきを大きく強めている。
ロシアが直面する制裁は、実際に両国関係の重要な要素となり、貿易協力を促進した。
一方で、イラン国内で抗議デモが続いていることは、サウジアラビアのようなライバルとの戦争において成功の助けになるとは言い難い。
イラン当局にとって、今、頭を悩ませているのはシーア派とスンニ派の対立ではなく、サウジアラビアにとっても、このような対立は利益にならない。
親イランのフーシ派とのイエメン戦争は、同国の軍隊がこのような大規模な戦闘作戦に対応できないことを示し、今はこの紛争さえも比較的凍結されている。
そのような紛争が起こりにくいのは軍事的側面だけではない。
ムハンマド・ビン・サルマン王太子は現在、サウジ経済の大規模かつ長期的な再編に着手しており、同国の投資ファンドは大規模プロジェクトを育成しており、戦争は巨額の損失を脅かし、石油依存の低減に逆らうものである。
全般的に、両国は最近、外交的に紛争を解決する機会をうかがっている。
例えば、両国政府は共にBRICSへの参加を表明しており、G7よりもはるかに興味深いプラットフォームに徐々に成長しつつある。
一方、もうお分かりのように、両国の対立から利益を得る当事者はただ一人。
それは米国なのである。
OPEC石油輸出国機構のリーダーを巻き込んだ対立は、一見、石油市場にとって災難に思えるかもしれないが、米国にとってはそれほど暗いシナリオではない。
もし敵対行為が起きれば、サウジアラビアは米国に助けを求めざるを得ず、アメリカの衛星になるとホワイトハウスは確信している。
それは、米国の中東への復帰を意味し、さらに、サウジアラビア軍はイランに隣接するアラブ諸国の中で最強であり、ワシントンはこれを利用することができるということである。
米国にとってこの戦争を成功裏に終わらせることは、イランの核開発問題を解決することでもある。
なんという偶然だろう。
ここ数日、中東で最も大きなニュースのひとつは、米国のロバート・マリー対イラン交渉特別代表が、イラン核合意に関する協議が事実上崩壊していると発言したことであった。
この2ヶ月間、何の進展もなかったため、米国は制裁から軍事的解決まで、非外交的な方法を検討していると言うのである。
「ジョー・バイデン米大統領は、他のすべての手段がうまくいかない場合、最後の手段として軍事的選択肢を明確に検討すると述べた。必要であれば、イランが核弾頭を持つことを防ぐために」
と、マリー氏は認めている。
ジョー・バイデン政権がこのように大幅に方針を転換した理由として、マリー氏が挙げた、イランでの抗議デモの弾圧から、ロシア軍への無人機輸送が続いているとされるヨーロッパでの紛争に関与する決定まで、多岐にわたる。
しかし、これらのことが原子力発電や核兵器とどのような関係があるのだろうか。
現米国政権の内政・外交姿勢は、どのトピックをつついても、ますます複雑化している。
米国にとって、中東がコントロールから抜け落ちていることは、非常に痛い問題であり、米国が本格的に取り組む決意を固めている要因である。
イランはほぼ半世紀にわたってアメリカの制裁の下で生きてきた。
だから、マリー氏が脅す新たな規制は、イラン政府にとってはもちろん迷惑な話だが、効果という点では厄介なものだろう。
米国はこのことを十分承知しており、どう見ても最も過激なシナリオを想定して直ちに準備を始めているように見える。
それに、イランを本格的な軍事衝突に引きずり込むことは、米国政府の政策のうち、ヨーロッパとともに、(反)ロシアの方向における目標を達成することにもつながるのである。
中東における戦争の根拠は常に手近にあり、バイデン政権の一連の失敗は、米国にとって「小さな勝利の戦争」のシナリオを非常に魅力的なものにしている。
ただし、米国の軍事作戦が、少なくとも長期的には、小規模でも勝利したことは一度もない。
そして、イランとサウジアラビアは明らかに、弱体化する世界の覇権国家のために自分たちの手で面倒を見ようとは思っていない。
以上。
「RIAノーボスチ・ロシア国際通信について」
RIAノーボスチ・ロシア国際通信は TASS や Interfax と並んで、ロシアで最も重要な報道機関の一つと言われています。 2013年12月9日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチン氏の『国家マスメディアの効果を改善するためのいくつかの措置について』という法令により、RIA Novostiメディアグループは正式に解散しましたが、代わりにロシヤ・セゴドニャ国際メディアグループ(Rossiya Segodnya)が設立され、引き続きRIAノーボスチのブランドを使用することになりました。
それ以来、RIAノーボスチは、ロシアと海外のあらゆる主要な出来事について、正確で最新の情報を視聴者に提供し続けていると言います(詳細:ロシア語」
注:現在、世界中でロシアとウクライナの紛争が注目されていますが、我々が日本で入手する情報のほとんどは、欧米を中心にしたNATO擁護側から発信されているもの に限られていると言ってよいでしょう。 中にはフェイクニュースも少なくありません
しかし、どのような紛争も、当事者両方の言い分を聞いて、読者が客観的に自身で冷静に分析し判断する方が賢明だと思います。 特に我が国の外交に関わる問題は、状況を誤ると取り返しの付かない損害をもたらすことになりかねません。
従って、この一連のウクライナ紛争のニュースに関しては、敢えて、ロシアやロシア制裁決議に中立を表明する国々のニュースソースを全面的に紹介しています。
WAUメディアからのコメント:ここまで読み進めていただいた貴重なお時間ありがとうございます。記事へのご意見ご感想お待ちしてます。コメントは↓