Extra ニュース

RIAノーボスチ・ロシア国際通信「米国は全てを賭けた」

写真は、26日金曜、ポーランド・ワルシャワでの講演中のジョー・バイデン米国大統領 © REUTERS / Agencja Wyborcza.pl / Slawomir Kaminski

Photo 出典元

ロシア時間03月27日 08:00 RIAノーボスチ
by ヴェロニカ・クラシェニンコヴァ氏

Photo 出典元

クラシェンニコヴァ氏(1971年10月12日ソビエト連邦チェレポヴェツ生まれ)は、ロシアの政治学者、歴史家、公人である。非営利の自治組織「外交政策研究・イニシアチブ研究所(ANO INVISIN)」所長、「ロシア・トゥデイ」通信社総局長の顧問。歴史科学専攻修士課程修了(2007)。統一ロシア党最高評議会メンバー。

「RIAノーボスチ・ロシア国際通信は TASS や Interfax と並んで、ロシアで最も重要な報道機関の一つと言われています。

2013年12月9日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチン氏の『国家マスメディアの効果を改善するためのいくつかの措置について』という法令により、RIA Novostiメディアグループは正式に解散しましたが、代わりにロシヤ・セゴドニャ国際メディアグループ(Rossiya Segodnya)が設立され、引き続きRIAノーボスチのブランドを使用することになりました。

それ以来、RIAノーボスチは、ロシアと海外のあらゆる主要な出来事について、正確で最新の情報を視聴者に提供し続けていると言います(詳細:ロシア語」

日本語解説:WAU

「米国は全てを賭けた」

「正体は明かされた。神のご意思は示されたのだ。この男(プーチン)は権力の座に留まることはできない」

26日金曜、ワルシャワで行われたジョー・バイデン米国大統領の、「ウクライナに関する基調講演」は、この言葉で締めくくられました。

バイデンは、40年前のポーランド連帯運動の文脈で、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世の言葉を皮切りに、「ベルリンの壁を打ち壊したハンマーを思い出せ」という調子で、ソ連圏とソ連が滅んだというストーリーを繰り返しました。

30分にわたる熱のこもった演説の中で、ほとんど口ごもることなく、一つの注意点(マリウポリではなくメトロポールだったが、すぐに訂正した)もあったが、アメリカ大統領は、「民主主義」「自由」のためのアメリカの十字軍のイデオロギーを、厳格なカトリック教徒の宗教的責任感とでも言うように表現しました。

彼は1980年代の出来事を指摘しながらも、ロナルド・レーガンに言及しませんでした。

党派を超えた競争は避けられないが、ロシアへの非難と行動という点では、バイデンの演説は「悪の帝国」を糾弾するように絶対的に聞こえたでしょう。

レーガン政権は1982年に「ソ連経済金融破壊計画」を打ち出し、その一環として、現在も稼働中のウクライナ経由のシベリア横断パイプラインの建設を阻みました。

経済的措置に付随して、軍事的・破壊的行動、思想的・心理的戦争、合計十数項目にも及ぶものでした。

したがって、ジョー・バイデンの最初の目的がエネルギーであることは驚くには足りません。

バイデンは言います。

「ヨーロッパはロシアの炭化水素への依存をやめなければならないのです。欧州のロシアからのエネルギーの『独立』の一環として、ノードストリーム 2を稼働させないだけでなく、長く稼働しているノードストリーム 1も稼働を停止させなければならないのです。そして、長年続いたソ連時代のウレンゴイ・ポマリー・ウジゴロドも空っぽにするべきです」

そしてヨーロッパの国民に準備をさせているのです。

それは「簡単にはいかない、代償を払うことになる」のでベルトの引き締めろと。

もうひとつ、アメリカの大統領が言った重要なことは、経済制裁に関することです。

「これらの制裁は、軍事力に匹敵する損害を与えることができる新しいタイプの国家経済的アプローチである」

バイデンの演説は、今日のワシントンの主な目標がロシアにおける「政権交代」であり、ウクライナにおける軍事衝突が、モスクワを衰弱させる戦争に引きずり込む道具として、また指導者を「戦争犯罪」で非難するための口実として機能していることを裏付けています。

バイデンが述べた議題は、3月24日(木)にブリュッセルで行われたNATO、EU、G7サミットで同盟国に説明されたことは間違いないでしょう。

そこで下された決定は、軍事的、経済的、組織的、宣伝的にロシアに圧力を加えるものであり、後に3月26日(土)に発表された目的を実現するためのすべての作業だったのです。

軍事面では、NATOは第一段階として、バルト諸国とポーランドに配置している既存の4つの戦闘群に加え、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアに新たに4つの戦闘群を配置することを表明しました。

NATOの戦闘部隊は、バルト海から黒海までの東側全体をカバーすることになると、同盟のイェンス・ストルテンベルグ長官は述べています。

これらのNATO軍は、すでに東欧に展開している10万人の米軍に加えられます。

経済面では、ロシアの個人と企業に対する新たな制裁措置が導入され、軍事面に匹敵する損害を与える戦略のための新たな一歩となりました。

規範に反して、米国はエネルギー戦略を指示するためにEUサミットに参加し、欧州におけるロシアのガスと石油の完全な代替が2030年までに不可能であっても、ワシントンはあらゆる手段でそのプロセスを加速させるでしょう。

プロパガンダ面では、サミットとその前の数日間で、2つの新しい路線が具体化されました。

まず、ウクライナにおけるロシア指導部による「戦争犯罪」の告発です。

金曜日にバイデンは、プーチンを「戦争犯罪人」とみなし、「個人的な意見は正式な法的評価と異なることはないだろう」と繰り返しました。

これと並行して、ホワイトハウスは、ロシアがウクライナで使用するかもしれないとされる「化学兵器」についてのプロパガンダを押し進めています。

これは、中東におけるアメリカの実践の明らかな野蛮さの象徴と同じです。

また、ロシアの手にある「生物兵器」で国民を威嚇すると言うプロパガンダも行われています。

これは、ヴィクトリア・ヌーランド米第一次国務次官がウクライナに米国の生物学的研究所の存在を認めた明らかな失態を隠すための手段です。

どちらのケースも、「外国の旗の下」、つまりロシアの旗の下で化学物質や生物学的事件を起こす可能性があるということです。

「偽旗」作戦の効果は専門家には明らかだが、一般の西側市民は、政府がロシアの旗を指させば簡単に信じるでしょう。

こうして、ロシアは「狂った殺人機械」という評価が押し付けられ、この国の政府を変えなければならないという、唯一自然な結論が押し付けられるのです。

化学、生物学と並んで、「ポーランドへの戦術核攻撃」の脅威も宣伝され、原爆攻撃の話が出ると、冷戦時代の対立のあらゆる恐怖がよみがえります。

これまでのところ、バイデン大統領とその政権のメンバーは、ウクライナに米軍を派遣し、「飛行禁止区域」を宣言し、ロシアとの直接的な軍事衝突の可能性そのものを繰り返し否定しています。

しかし、「戦争犯罪」や「大量破壊兵器の使用」の可能性に関するプロパガンダの方向性は、その立場が変わろうとしていることを示唆しています。

ホワイトハウスは、

「我々は望んでいない、自分たちでも言っているじゃないか、しかし今は状況が変わった、プーチンは我々に選択の余地を与えていない」

と言う事は十分にあり得るでしょう。

ワシントンとそれに同調するヨーロッパの声明と行動から判断すると、バイデン政権は、かつてレーガンがソ連に対して行ったように、ロシアに対してより真剣に破壊に取り組んでいるのです。

しかし、当時も計画の立案者自身は強大な権力を倒せるとは思っていなかったが、今日の戦略家は成功体験と十分に鋭い道具を使って計画を実行に移しています。

ロシアは、1980年代後半にソ連が直面したような、まさに「存亡の危機」に直面しています。

今日、生き残るためには、19世紀ではなく、21世紀にふさわしい型破りなアプローチが必要なのです。

そのためには、すべての国民が国の運命に参加する必要があります。

国民は国家を「自分たちのもの」</em>と考え、その勝利に利害関係を持たなければなりません。

モスクワ当局は、どのようなシステムをロシアに提供するのだろうか。

====

注:現在、世界中でロシアとウクライナの紛争が注目されていますが、我々が日本で入手する情報のほとんどは、欧米を中心にしたNATO擁護側から発信されているもの に限られていると言ってよいでしょう。

しかし、どのような紛争も、当事者両方の言い分を聞いて、読者が客観的に自身で冷静に分析し判断する方が賢明だと思います。従って、この一連のウクライナ紛争のニュースに関しては、敢えて、ロシア側のニュースソースを全面的に解説しています。

以上。

スポンサー広告
自分で簡単に作れるWordPressテーマ

日本語解説について

この記事の感想:

翻訳者からのコメント:

ここまで読み進めていただいた貴重なお時間ありがとうございます。記事が面白いと思っていただきましたら、是非、SNSにシェアしてください。

下のコメント欄から、お気軽にご意見お待ちしています。

POSTED COMMENT

  1. PBWU より:

    このサイト運営の主旨に賛同し、応援します。米国メディアの限界を補う為に、オーストラリア発Guardian、インド発WIONのニュースも時々カバーされることを期待しています。例えば、WIONにはアフガニスタン撤退、ウクライナ侵攻の影響を受けたパキスタン政権の弱体化、スリランカの中国支配と財政破綻に巻き返しを図るインド、日本のウクライナ支持をインドがどう(批判的に)受け止めているか。中立の立場から見たウクライナ状況など。ガーディアンでは、ソロモン島の中国軍用化への進展具合がレポートされています。それから、アメリカ版ヘイト条約、BLM詐欺の法律化だと思われるものに売電がサインしたことも、WIONでは報道されています。(ただし、数日前にバンされたこともあり、左視点でされてますが)。それから、中国で墜落した機体が737だと指摘したコメントに工作員リプが大量に付いたのも興味深いと思いました。

    • コメントありがとうございます!ウクライナ紛争関連のニュースを取り上げる中、私自身、様々な事を学んでおります。ご提案いただきましたニュースソースも今後是非カバーさせていただきたいと思います。今後ともご意見ご要望などお待ちしております、よろしくお願いいたします。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です